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高潔な無頼漢 (「ヘミングウェイの酒」 オキ・シロー)


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なぜ、飲むのか。
お酒のある場面が、なぜ好きなのか。
ごく個人的理由を絞り込むと、3つ。

1)  リラックスできる。
2) 場を共有している相手とうちとけられる。(程度には差がある)
3)  お酒には、ものがたりがある。

来歴や由緒があるものに、惹かれる。
ずらりと並ぶボトルやラベルの意匠を
眺めているだけでも愉しい理由は、ここにある。
背表紙が端然と並ぶ書架に匹敵するほど、
酒のある風景は、
ときに(ときに、だ)雄弁なかたりべとなる。


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ヘミングウェイの愛した酒を
酒の種類やカクテル別に章立てて、紹介した
コーヒーテーブル本、ならぬ、
バー・カウンター本。

スコット・フィッツジェラルドとゼルダ、
ロバート・キャパ、イングリッド・バーグマン、
マレーネ・デートリッヒ…。
これほどの顔ぶれが、
同時代に同じ都市でクロスオーバーしたのに
何役も買った、お酒やカクテルたち。
しかも時代は禁酒法。
法の目をかいくぐって、
モード(流行)が、ギャングが、
文学が、アートが跳梁跋扈した。

ジャズ・エイジ。
ロスト(失われた)・ジェネレーション。
世の中すべてのたくらみの温床は
バーとカフェ、だった。
安寧な時代には見られないのは、
閃光のようなインスピレーション。
切迫した衝動。
だから、アンダーグラウンドなことすべてが
輝いていた時代。

生き方は破天荒でありながら、
その作品と文体が
高潔であった秘密は、何か。
答えがおそらく出ない謎解きを
弄びながら、
目を、舌を、鼻腔を、高貴で芳醇な酔いで
満たすことのできる本。



































ヘミングウェイの酒

オキ シロー / 河出書房新社

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by office_bluemoon | 2010-04-25 11:49 | こんなもの、読んだ(本・雑誌)