『考える人』 2010年夏号 村上春樹 ロングインタビュー
著名作家のインタビュー、では片付けたくない。
天与の本分をまっとうするために。
肉体も、生活ペースも、
最適であるために。
何ものからも自由であることに
こだわり続けた
プロフェッショナルの真摯な記録。
『1Q84 Book 1 -3』 の執筆秘話も。
「識者」による憶測、深読みではなく、
作者本人のことばが
リアルタイムで読めることを
期待していなかった。
これは、貴重。
個人的には、翻訳についての
考察が圧巻。
なぜ訳し始めたのか、という初期衝動に
曇りもねじれもない。清々しい。
究極の「童心」を、ここに見る。
読後、着ていた服を全部洗濯機に放り込んで、
カラダをごしごし洗い、
部屋中掃除機をかけたくなった。
まず、生活から。
プロたる覚悟はそこから。
追記:
村上春樹文学史上初めて、とおそらくいえるほどの
二泊三日に亘るロングインタビュー。
ご本人をこれだけリラックスさせて語らせ、質問も散漫とせず、
かつ遊び心ある(随所にちりばめた村上氏の
食・音楽・衣服などについてのコラムが小気味良いアクセント)
編集をした人は誰?と調べてみる。
インタビュアーは本誌編集長、および「芸術新潮」の編集長も
兼任する、松家 仁之氏。
素材は秀逸。さらに、唯一無二の手腕を加味して
さぁどうぞ、と完成品を読者に供する。
名インタビュアーとは、名シェフにも似たり、か。
by office_bluemoon
| 2010-07-14 08:22
| こんなもの、読んだ(本・雑誌)