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office bluemoon

"To Kill a Mockingbird" 映画観賞

第4回Book club議事録:



テーマ:"To Kill a Mockingbird"  Harper Lee
(1961年ピューリッツァ賞受賞)映画化作品を観賞。

プラス、バカンスの報告食事会。


出席者:
常任メンバー3名(オーストラリア人S ・アメリカ人 C・ office_bluemoon)
ほか5名(日本人・メキシコ人・オーストラリア人・カナダ人)

場所:
S宅

目的:
- office_bluemoonは、原作を読むのに非常に苦労した。語学力のほかに、
理解しにくかった原因は、時代背景の知識の欠如。本書推薦者C曰く、ならば、
公民権運動以前のアメリカ、1950年代を舞台にした本作品を、ぜひ観賞してもらいたい。

メモ:
- 8人での会食後、3人だけ別コーナーに移り、グラスが割れたりだの、
嬌声があがったりだののカオスをよそに真面目に映画に没頭。

- アメリカ人Cが随時、注目すべき台詞、場面設定(南部独特の家の構造、
ひとびとの暮らしぶり、服装、階級)について解説。銃社会、陪審制度など、
日本にない社会のしくみについて都度不明点をCに尋ねたり、
同時にオーストラリアではどうなのか、をSにも尋ねる。立体的、
かつ多面的な理解が深まる。

- グレゴリー・ペック(照れてしまうほどかっこいい!)が本領発揮、ともいえる
理想のアメリカ人、善き父、正義の規範をほぼパーフェクトに好演。子役も、
謎の登場人物Boo(ロバート・デュバル)の露出も実にほどよい。

- 本では、話し手が主人公の少女であったがためにわかりにくかった部分が、
映画ではカメラアイになることでかなりわかりやすくなる。また、原作よりも南部方言が
気にならなくなっていたのは、映像の力か。脚本の時点で、調整していたのか。

- 読み取りの不十分さから原作では(白人か、黒人かさえも)イメージしにくかった
登場人物属性も、映画でどういう風体のひとがどう演じているか、が示されて、
些末ではあるけれども重要な疑問点の数々が氷解。

- 黒人の台詞の注目すべきポイント、白人の黒人に対する言葉遣いの
注目点を適宜指摘してもらえた。ひとりで観賞していたら間違いなく見逃していたと思う。

- 実際にあった事件をベースにしたこの物語の登場人物のひとりの子供は、
のちのトルーマン・カポーティ、とのこと(同じ町に住んでいたので、この事件を体験している)。

- ハリウッド映画が得意とする法廷のシーンも、この時代ならではののどかなテンポで
手続きが進行していくが、台詞が切れ味よく、手に汗握る見せ場が。

- モノクローム作品、昔の映画独特の効果音のわざとらしさも気にならないほど、
緻密に複数のプロットが編まれている。抑制の利いた洗練された作品。
本を読むのにはまことに苦労をしたけれど、わかったふりをしなくて良かった。
映画もみんなで観られて良かった。


次回 課題本について:

ガルシア・マルケス『コレラ愛の時代』にいったん決まっていたが、
このへんで日本文学を、との意見あり。
Cの要望で、「ポスト・オウムの日本において重要な作家」を、と。

なぜポスト・オウムなのか、についてのCの説明*は以下の通り:

地下鉄サリン事件のあった1995年は、日本におけるあらゆる価値観 ― 
政治も社会情勢も危機管理も安全保障も経済も― の崩壊、あるいは転換点だと考える。
アメリカにおいても1995年は特別な転換点(オクラホマ爆破事件・O.J.シンプソン裁判)。
そのことを意識しながら現代日本社会と文学をひもときたい。


* 個人的には当初、オウム事件を境に文学作品を区切る意味が理解できなかった。
Cに指摘され、意識を持ちながら現在進行中の近代日本を外からの目で
鳥瞰する読書もあることに気づく。

一方、推薦資料を作るのに慌てる。
ふだん、読書に何を求めて本を選んでいるか、自分の読書傾向の偏りに愕然とする。
これは、本来ひとりでおこなうはずの読書体験では得られない、立ち位置の転換。
それに気づく良い機会となった。




office_bluemoonが挙げた候補**(推薦理由は割愛):

宮部 みゆき 『火車』
宮部 みゆき 『理由』
桐野 夏生 『グロテスク』
桐野 夏生 『OUT』
小川 洋子 『博士が愛した公式』

**本サークルの候補本の絶対前提として、「英訳されているもの」というしばりがある。
ここにあげた多くが殺人・犯罪小説系になってしまうのは、どうしても
「売れる本=センセーショナルなもの」、という図式がある限り、しかたがないこと。
であればなおさら、日本作家の作品で英訳されていないもののなかにも
まだまだ、佳品、名作があること、
そして、office_bluemoonはことさらな犯罪小説マニアではないことを強調
(つまり、名作として推したい本はほかにも山ほどあるけれど、哀しいかな、未訳である)。

Office_bluemoonが各作品について解説後、全員一致で、
桐野 夏生の『グロテスク』に決定。

各自すみやかに英訳本を入手のこと。

次回ミーティング詳細は追って決定とする。





会食メニュー(持ち寄り形式):

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オリエンタルチキンサラダ
出汁巻き卵
エンチラーダス
トムヤムクン
グリーンカレー
バナナホイップ入りクレープ カラメルソース添え


フローズンマルガリータ(マルガリータおたくスペシャルレシピ数種)
モヒート
各種カクテル(覚えきれない)


今回のおまけ:
三戦二勝 (Yes!)



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by office_bluemoon | 2010-09-27 00:40 | Book club 議事録