office bluemoon

<   2010年 01月 ( 21 )   > この月の画像一覧


f0205860_119738.jpg










西風が止んだ。

光も、空気も、
さっきより、甘い。

逡巡かさねて、春がまたくる。
[PR]
by office_bluemoon | 2010-01-31 01:22 | 迷路に遊ぶ(おもふこと)

obituaries


f0205860_21511290.jpg









ティーンエイジャーの頃。
みんなが面白がっていることが、ちっとも可笑しくなくて
一緒に笑えなかった。
歪みやひずみが許せなくて、
世の中と周囲の人と
自分を(「生まれてこなければよかったのに!」と)
順繰りに、
ぐったりするまで責めてばかりいた。
身の置きどころがなく、
おどおどしていた。

可笑しくなければ笑わなくていい。
ひとり向き合うべき喜怒哀楽もある。
足並みが揃わなくても、悪ではない。
作品で教えてくれた作家がふたり、あいついで逝去。

不機嫌だったり、笑いのセンスがズレてるのは
今もあまりかわらない。
ただ、ひとつだけ、
歪みやひずみの中にも
チャーミングさを見出せるようになった。
これだけでずいぶん、生きやすくなった。

あの頃出会えたから、
今がある。
ありがとう。












J.D. サリンジャー 
(1919年1月1日 - 2010年1月27日 享年 91歳)

ロバート・B・パーカー
(1932年9月17日 - 2010年1月18日 享年 77歳)
[PR]
by office_bluemoon | 2010-01-30 00:02 | こころ、泡立つ(events)

仰ぐ  


f0205860_7155336.jpg






梢のてっぺんはきっと、
風が吹き抜けて
胸が痛くなるほど見晴らしがいい。








f0205860_7193380.jpg






リスペクトを以て対象に向き合うこと。

一方、リスペクトが過ぎると不自由になることを
今度は覚えておくこと。

もたれかからないで、立つ。
孤独だけれど、屹立した自由な存在であることを
忘れてはならない。




梢のてっぺんは
風が吹きつける。
けれど、
きっと肺が痛くなるほど見晴らしがいい。
[PR]
by office_bluemoon | 2010-01-29 07:23 | 迷路に遊ぶ(おもふこと)

「それでも恋するバルセロナ」

成就しない恋愛こそにロマンがある、という。
この台詞にバルセロナのアイコンである
サグラダ・ファミリア教会が重なる。
120年経っても未だ完成しない
ガウディの作品もまた、
尽きせぬロマンチシズムの具象、と
ウディ・アレン監督が意図したかはわからない。

休暇でバルセロナを訪ねたヴィッキーとクリスティーナは
親友同士。そこに、元妻と流血の修羅場を演じたという噂の
画家、ファン・アントニオに出会う。「決してハンサムではない」が
(註:ハビエル・バンデム、私はハンサムだと思う)
女性の扱いになれた危険な男。
「人生は無意味で退屈で苦痛に満ちている だから貪欲になろう」、と
とふたりを週末旅行に誘う。

困った男だが、ファンには奸知がまったくない。
欲求に忠実で、真の意味で邪気がない。
クリスティーナはそんなファンにひと目惚れする。
結婚を間近に控えたヴィッキーには、旅先の情事は論外だ。
これまでの人生ですべて建設的、理性ではかれるものばかりを
選び取ってきたヴィッキーだったが、思わぬきっかけで
ファンと一夜を過ごしてしまう。だがファンは、
略奪愛よりも、ボヘミアンな生き方に憧れる
クリスティーナとの平穏な愛をとり、
二人は一緒に住み始める。
懊悩を隠し、親友の幸せを祈るヴィッキー。
そこに、ペネロペ・クルズ演じる激情の
芸術家、ファンの元妻マリア・エレーナが加わり、
ひと夏の恋のから騒ぎが繰り広げられる。

深夜のオープンエアー・レストラン。
乾いた風と赤土の大地。
人生の悲哀を切々と闇に塗りこめる、ギターの調べ。
条件や、制約つきの地上の愛を嗤うかのように、
奇抜な形の尖塔が天に聳え立つ。
ガウディやミロの作品群に護られたこの街は
混沌や、痴情沙汰がほんとうによく似合う。

旅先の恋は、好んで取り上げられる題材だ。
そもそも愛は障害があってこそ、燃え上がる。
旅には最初から、時間の制約がある。
異郷では、価値観が破壊される。
旅人である限り、今まで辿ったことのない人生を覗き込める、
辺縁を歩くさだめを負う。
ひと思いにこれまでの人生を
かなぐり捨てたらどうなるだろう、と
まだ選び取っていない選択肢を想像しては胸躍らせる。
片足だけ異界に足を踏み入れて、
具合がよろしくなかったら、元の日常に戻ってくる猶予も
残されている。
すべてを賭けた愛、が実現しそうな錯覚を
起こしたとしても、それは旅人の咎ではないし、
それは果たせぬ幻想だなんて、誰が言えるのだろう。

この物語の軸となるのは、アカデミー助演賞を受賞した
ペネロペ演じるエキセントリックな芸術家ではない。
夏が終わったら
ニューヨークでの新婚生活に戻らなくてはならない、
理性と激情の間でたゆたう、旅人ヴィッキーの目線だ。

社会通念といった枠を超越したファンとマリア・エレーナに
すっかり感化されたクリスティーナは、
ヴィッキーにこう説く。
「正しい愛、悪い愛なんてないの。倫理を押し付けないで」。
ヴィッキーが果たして新しい自分に生まれ変わるのか、
旅行に出る前に選び取った日常を引き受けられるのか。
観るものは、ハラハラさせられながら、
行く末を見守ることになる。

知にはたらいて生きてきたヴィッキー。
情に流されるが、終始気持ちに正直に動いているファン。
意地を通すあまり、いつも収拾がつかないマリア・エレーナ。
常に何かを探しているけれど、本当は何が欲しいかがわからない
クリスティーナ。
四人の個性のかけらは、
誰しも見覚えがないだろうか。
それぞれの幸福を求めて
彷徨う彼らの誰ひとりをも、
少なくとも私は
愚か者だと揶揄することはできない。
バルセロナのパティオに思いを馳せ、
彼らがそうしたように
赤ワインの入ったグラスを灯に透かしながら、
もう戻らない四人の夏に
ほんの少し嫉妬するしかない。










(2010-C1-0126)














それでも恋するバルセロナ [DVD]

角川エンタテインメント

スコア:


[PR]
by office_bluemoon | 2010-01-27 23:58 | Life is Cinema (映画)

ガラス


f0205860_8385011.jpg

















表面が不揃いな、昔のガラス。
切り取られた風景はいつも、
涙をたたえたように歪む。

麗しき、威厳ある孤立。
美しき憂いを
盗み見ているように思えて。
息をひそめてしばし去りがたく。
[PR]
by office_bluemoon | 2010-01-26 08:40 | 迷路に遊ぶ(おもふこと)

gamblers


シャツの袖をまくり、タイプライターを叩く。
後ろを振り返り、
ギアを操りながらマニュアル車をバックさせる。

ひじから指先の動きに、
わけのわからない艶を感じてしまう
シチュエーション。
またひとつ、ふえた。





f0205860_9154665.jpg






バックギャモン。
駒とダイスを操る指先の
エレガントな動きに、
魅せられる。
爪先の丸い我が指先を
ヒザの上に戻して、そっと折る。






生まれて初めて
ギャンブラーたちと、
テーブルを囲む。

全方向に目を行き渡らせ、
先の先を読み、時に裏をかく。
ダイスに運を委ねる。
経験したことのない
高揚感の余韻。

コートの襟を立て、
チャイナタウンの路地を
足早に急ぐ。
白い息越しに
半月を見上げる。






















バックギャモンNIGHT@横浜
[PR]
by office_bluemoon | 2010-01-25 09:17 | こころ、泡立つ(events)

共謀者


ひみつ。
気づかないふり、してあげるね。






f0205860_9351195.jpg






君、達観したふりしてるけど。





f0205860_9363798.jpg







夜陰に紛れて、
徘徊してるんだよね。
ほんとは、
動きまわりたくて、
せつないんだよね。
身をよじって、
叫びたいんだよね。


みんなには、黙っていてあげる。





f0205860_9382549.jpg

[PR]
by office_bluemoon | 2010-01-23 09:40 | 迷路に遊ぶ(おもふこと)

Bohemians


f0205860_2275676.jpg







「いつも旅の途中(on the road)」だという作家と、
吟遊ジャーナリストと、
六弦詩人。
そして神の名前を授かった
澄んだ瞳の少女。
知らない街に誘われ、
馥郁と香る珈琲を手に、5人でテーブルを囲む。

座しておはなしするのは初めてなのに。
佳き書物と、映画と音楽と旅の話題がとめどなく。
未だ見ぬ天涯、甘い南風、突き抜ける空、
市場(スーク)の喧騒までありありと。
叡智のことばが響きあい、こころ射抜く。
相槌をうつのも、おぼつかないほど。

まだまだ自分はちいさいなぁ、
ものを知らないんだなぁ、
なぁんにも成してないなぁ、と
とことん思い知ったら
落ち込んでもいいはずなのに。
なんでこんなに胸が高鳴るんだろう。





まだ熱き珈琲カップの漆黒に 吸い込まれたし時間よ止まれ
[PR]
by office_bluemoon | 2010-01-20 02:40 | 歌詠み

dazed


f0205860_1053478.jpg










潮騒の音も、もう聴こえない。

奔放過ぎる色彩と光に息を呑み、
右頬も左頬も、ただ打たれるがまま。
[PR]
by office_bluemoon | 2010-01-17 10:54 | 迷路に遊ぶ(おもふこと)

あかねさす


f0205860_10554840.jpg










「『絶望』は『希望』の別名である」のが
混沌の側面なのだとしても。

悟ったふりなんてしない。
あかね色が兆す方向につい、駆け出してしまう
シンプルな愚か者でいよう、と思う。
[PR]
by office_bluemoon | 2010-01-16 10:58 | 迷路に遊ぶ(おもふこと)