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Book circle 議事録 番外編(『キャデラック・レコード』)


今回の課題図書、桐野夏生の『グロテスク』を前半まで読んだところで
会合をセッティングしていたが、台風が関東を直撃。
夕方に向けて雨脚が強くなる、との予報。
遠方に住むゲストのことを考え、泣く泣く順延を決断。

一日予定が空いてしまい、食材もふんだんにあったので、
車で移動できる者だけでDVDでも観よう、とS宅に集まる。

夕刻に激しい風雨。予報通り。
遠回りして海沿いに漁港、マリーナ経由で
S宅に向かう。
波チェック。
オンショアが強すぎて波が割れずにつぶれている。

低気圧最接近、で
朝のうちは鈍痛だった片頭痛もピークに。
気象庁の予報より感度がよい。
目をつぶると火花が見えそうな勢いで痛い。

料理を用意してくれているSに申し訳ないので、
車の中で薬を呑んでおく。


バックギャモン、2戦2敗。
頭痛のせいで脳が機能してないせいか、
今日はSの圧勝。
(たまには勝たせてあげよう)

雨脚が遠ざかるとともに、頭痛も薄れていく。
気圧計より精巧だね、とSにからかわれる。

ゲームに勝って上機嫌のSが
腕を奮ったミネストローネで暖をとる。
スープをすすり、罪深いほどバターたっぷりのガーリックトーストを
ちぎりながら、毛布にくるまって映画タイム。

車好き、ギター好き、ブルース好きの男性陣が、
『キャデラック・レコード』を選ぶ。
ブルースの創成期を担った実在のミュージックレーベル「チェスレコード」の
物語とのこと。
ブルースは門外漢だけれど、ビヨンセ出演、制作総指揮、と聞き
俄然興味を持つ。
せっかくなので以下、簡単な感想メモ。




* 1940-60年代のシカゴが舞台。

*  “To Kill a Mockingbird”のときもそうだったが、それほど遠くない昔に
厳然とアメリカにあった人種差別について、知らなさすぎることを痛感。
チャック・ベリーが演奏するライブで、オールスタンディングの観客席が
黒人席と白人席に分けられているシークエンスに驚く。
自分の無知さはさておき、
知っておくべきことを教えない学校の歴史教育とは、これいかに。
小学生から英語を教えるよりも、
過去の愚行から目をそむけないことのほうが先決。

* チェスレコード創業者レン・チェス(wikiによると実際は兄弟で立ち上げたとのこと)は、
抱えている黒人アーチストへの成功報酬に、
次から次へとキャディラックを買い与えていく。住宅は二の次。
キャディラックは20世紀アメリカの価値観。成功の象徴?
それにしても、車が美しく撮れている。

* 今普通に耳にするロック、ソウル、R&Bの原型がブルースで
あることを知らなかった。作中にもあったが、ローリングストーンズも
エルヴィスもビーチボーイズも、源流をたどると、ブルース。
黒人に白人と同等の権利が与えられていなかった時代に、
黒人が礎を作った。
政治活動では果たせなかった力で、音楽が人々のエモーションに
揺さぶりをかけることができた、奇跡の時代のクロニクル。

* 車。権力。銃。金。スキャンダル。男たちの小競り合いの世界に、
ビヨンセが退廃的かつ鮮烈な花を添える。とにかく圧倒的な歌唱力。
目をそらすことのできない、肉厚の美しさ(やせぎすでは出せないセクシーさ)。
筋トレ、がんばろう。

* レンの事業が発展し、音楽ビジネスで重要な位置を占めていくにつれ、
どんどんスタイリッシュに洗練されていく演技が秀逸。ビル・エヴァンスや、
ポール・ウェラーを想わせるこの神経質そうな風貌、タイプだなぁ、と思い調べたら、
『ダージリン急行』でもタイプだなぁ、と思う役も演じていた。なるほど。


人生の理不尽さ、無力さへの怒りの発露が、黒人音楽を生んだ、と知る。
文学も同じだと思う。
不条理を見つめる。昇華する。
借り物でない手段(ことば、音、写真、絵)で表現する、ということ。






メンバー業務連絡: 今回はたいへんに残念でしたが、
順延にして正解だったと思います。次回ミーティング日程は決定次第お知らせします。



























キャデラック・レコード コレクターズ・エディション [DVD]

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

スコア:


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by office_bluemoon | 2010-10-31 18:20 | Book club 議事録

寝ても醒めても


活字を扱っていて
書けなくて、行き詰って
気分転換を、と外出。

でも、結局活字で
気晴らし。


懲りないなぁ。
ばかだなぁ。

活字の国への
永遠の片想いだったら
やだなぁ。




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麹町 ARGO  
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by office_bluemoon | 2010-10-30 00:21 | 活字に遊ばれ(活字のある風景)

真夜中のライブラリ


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パーティの夜は深まり、
さざめきとひといきれに上気してしまった。
頭を冷やしたくなって、
こっそり会場のスイートルームを抜け出し、
友人のあとをついて
階下のライブラリへ。

圧倒的な叡智と美意識の前では
人はおのずと声が低くなる。

グラス片手に、ページを繰る。
写真集をいくつも開いたまま、
声をひそめて語りあう。

真夜中のライブラリ。
大人のための、知のトレジャーランド。

何もすぐには生み出さないかもしれないけれど、
人生に深みと陰影を与えてくれる
このうえなく豊かな静止時間。
魂の凪(なぎ)。





















森戸海岸 SCAPES 
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by office_bluemoon | 2010-10-29 22:24 | 活字に遊ばれ(活字のある風景)

contrasts


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顔をしかめるほど苦み深いコーヒーにショコラ。
かじかむ手に握るマグカップ。
ブルーグレイの雲に差す一条の光。

胸穿つ虚無に
埋もれまいとする決意。

混乱してばかり。
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by office_bluemoon | 2010-10-26 17:55 | 迷路に遊ぶ(おもふこと)

ribbon in the sky


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空にそっとかけられたサテンのリボン。

過去の忘却。
今日への感謝。
明日への約束。
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by office_bluemoon | 2010-10-23 08:47 | 迷路に遊ぶ(おもふこと)

book circle 分科会


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チャイナタウンのはずれ。
誰かの書斎に招かれたかのような
ブックカフェで。

私の体内には活字感応中枢神経(造語)、みたいなものがあり、
簡体字、漢字が壁を埋め尽くす中では
意表を突かれすぎて機能停止するらしい。

書架の中にいるのは嬉しいんだけれど、
とっさに、どこからどう読んでよいかわからず、
最初の数分間
立ちつくすほどの戸惑いを愉しむ。




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 本日のミニ備忘録。

 「その後の読書遍歴を決定付けた忘れられない一冊は?」

 N:
 「海底二万里」
 「フランダースの犬」
 
 M:
 「赤毛のアン」

 office_bluemoon:
 「バナナフィッシュにうってつけの日」
 
 つまらない授業中に机の下、膝の上に載せて新潮文庫の
 『ナインストーリーズ』を読んだ。本編は九つの短編の冒頭を飾る。
 
 最後の数行を読んだ瞬間に、世界中の音が消えた。
 話の終わり方にしんそこ驚いたのを今でもはっきり覚えている。

 カミュでも、カフカでもなく、サリンジャーの描く不条理に、
 以降めっぽうまいってしまったきっかけ。



ポットに継ぎ足すお湯やケーキの試食を、と途中
店主が何度もテーブルにやってきて
声をかけてくれる。
なるほど、居心地がよいはず。
ここにあるのはすべて、サブカルチャー、メインカルチャー限らず
中国語圏への造詣が深い店主の蔵書、私物だという。

やがて店主も交えての本・映画談議。
店を出た時には外は暗くなって、雨が上がっていた。













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すみずみに、ちゃめっけのあるディスプレイ。
「可愛がってください」の貼り紙と、三角パンダ。
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by office_bluemoon | 2010-10-22 08:27 | Book club 議事録

ある日のコストコ


六人で、買い出しに。

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アメリカ人C 教師 40代のかいもの。
ガーキンズ、タコシェル、サルサデポモドーロ、チーズ。
真ん中の瓶、はお湯を入れると出来上がる粉末状マッシュポテトの素に
「どこがヘルシーなのよ」、とオージー美人シェフCが突っ込みをいれているところ。

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アメリカ人F 教師・プログラマー・ミュージシャン 40代のかいもの。
パン、水、卵、ワイン、ハム、レモン。
ゴボウチップス?と聞いたら、
「これで野菜はバッチリでしょ?」と切り返される。



Office_bluemoon、これだけ?とふたりに反撃される。

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でも、五ヶ国語対応の紙の辞典は、とても使える。
たとえば、ネットにキーワードを入れようがない、
画像検索もできない、
家のこの部分、とか、名前はわからないけれどこんな鍋、などと
視覚でわかっていても、
ビジュアルで指さないとわからないものの単語は、
図解してもらったほうが、手っ取り早い。

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こうやって、お腹の足しにもならず、
お茶碗一杯の水を温められるでもない
家財道具がまた増えていく。













Merriam-Webster's
Compact 5-language Visual Dictionary
























































































Merriam-Webster's Compact 5-Language Visual Dictionary

Jean-Claude Corbeil / Merriam Webster

スコア:


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by office_bluemoon | 2010-10-22 08:00 | 活字に遊ばれ(活字のある風景)

Welcome to the party!


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真夜中の遊園地。
油断したら、してやられる。

(だまされても、うらみっこなし)
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by office_bluemoon | 2010-10-19 08:17 | 迷路に遊ぶ(おもふこと)

gazing


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やっぱり怒って見える。
ってことは、今日はワタシ、
疲れてるんだとおもう。

ごめん、応戦はまたこんど。
キミが弱ってるときに。


(しめしめ)
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by office_bluemoon | 2010-10-19 08:12 | ぜんぶ月のしわざ

デグとPeanutsと解けぬ魔法


コーヒーを口元に持っていった瞬間に、
天から降ってきたように、思いだした。
子供のころ、私が誰よりもうらやましかったのは、
商店街の本屋さんのひとり息子、デグだった。
「出口書店」の子だったから、デグ。
名前はもう覚えていない。



低学年の私は、とにかく病弱だった。
気管支炎の発作をしょっちゅう起こしていた。
病院の帰り道、その日辛抱強い子だったら、
あるいは、しばらくベッドで
横になっていなければならない容態だったら、
Peanuts、スヌーピーのマンガを一冊だけ
母が買ってくれることになっていた。

当時、作者のチャールズ・シュルツ氏はまだ存命していた。
アメリカの新聞に連載されていた4コママンガを
まとめていたこのシリーズはすでに、
店頭に100冊前後あったんじゃないかと思う。
2ヶ国語表記のペーパーバック。
訳者は谷川俊太郎氏だった。

スヌーピーの絵柄のバッグを買ってもらうより
本のほうが嬉しかった。長く楽しめた。
“Good grief!”の訳がなんで「やれやれ!」なのか、
ウッドストックの達観、
チャーリー・ブラウンの悲哀が
ちっともわからなくても、かまわなかった。
子供向けの本よりも、謎に満ちている、腑に落ちないことが
多いところが気に入っていた。

装丁も、卓越していた。
紫と茶色、とか、青背景に黄色文字、とか、
日本の本にはないカラーセンス。
ペーバーバックならではの紙質のせいで、
絵本で使われている
硬くて白くてつるつるの上質紙に比べて
はるかに大人の持ち物に思えた。

増えるたびに嬉しくて、
書架に並べた背表紙の配列を入れ替えて遊んでいた。
だから、まだ持っていない表紙の色はどれだろう、と
その日の1冊を選びだすのは、
とても真剣で神聖な作業だった。
たいがい、病院帰りでぼうっとしているから、
そんなに長くしゃがみこんではいられないのだけれど。
この書店のPenutsの棚の前だけは
飽きることがなかった。
Peanuts全巻が並ぶのを、ずっと眺めたり、
読みふけっていられたらなぁ、と思っていた。

だから私は、デグのことが羨ましくてならなかった。
家の商売が履物屋の子も、八百屋の子も、文房具屋の子も、
ラーメン屋の友だちもいた。
それでも、やっぱり、デグ、がいっとう羨ましかった。
何かを売っているわけではない自分の家が
うらめしかった。



そんなことをつらつら思いだしながら、
カフェのテラス席から店内の書架を見渡す。
ブランドショップのウインドウが連なる
ゆるやかな下り坂が環状線に突き当たったところに
その店はある。

このカフェは大手書店とタイアップしていて、
未精算でも店内の本を自由に持ち出し、
席で飲物を手に読めるのが売りになっている。

コーヒー片手に外のテラス席で、
本や雑誌を気ままに広げても構わない。
趣向を凝らしてディスプレイされた店内の随所に、
座って読めるように椅子が置かれている。

ここの本を所有しているわけではないのに、
一生かかっても読み終われるはずもないに、
世界を俯瞰しているような気分に満たされる。
そこにある古今東西の本を
好きなだけ、夜中でも、どれでも、
気兼ねなく座りこんで、読んでいても構わない。
なんたる贅沢、と思った時に
急にデグのことを思い出した。

Peanutsの書架に魅せられた小学生は
今では少しはじょうぶになって、大人になった。
それでも書架の前に陶然としていたくて、
ふらふらと書店に吸い込まれていく癖は変わらない。

背表紙が壮観に並ぶのを眺める胸騒ぎは、
止められない。
進歩がない、という言い方もある。
魔法がまだ解けぬまま、ここにいる。
本にまつわる喜びの果てしなさは、
いまだに私を捉えて離さない。

冷めてしまった紙コップをことり、と置いてふと思う。
デグは、本好きの大人になったのだろうか。





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by office_bluemoon | 2010-10-17 10:02 | 活字に遊ばれ(活字のある風景)