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Book club (@下北沢) In the Miso Soup by Ryu Murakami

地元のbook clubのほかにもうひとつ、都内のEnglish Pubで開かれる
日本文学を英語で読むbook clubにも所属していることは以前にも書いた。

中心になっているのは、このpubのオーナーであり、店の壁をすべて
蔵書で埋め尽くせるほどの愛書家、イギリス人のPaul。そして、カナダ人のScott。
あとは、翻訳を学ぶ仲間たち。この店の常客であるharumiさんを中心に、
いつも3-4名が集う。Non-English native speakersのわたしたちに、
PaulもScottも果てしなく優しくつきあってくれ、それでいて、ときに辛辣で、忌憚のない
作品の感想を聞かせてくれる。ふたりの愛あるがゆえの日本文化論はいつも新鮮。
また、日本語版(原書)をよむすべもないPaulから、英訳の質についても必ずひとこと
(例:『陳腐』、『平板』、『読ませる』など)あるのも、もうひとつの楽しみ。

ディスカッションは英語。読んでおくのは、和書・洋書、どちらでもよい。

備忘録として、過去読んだ作品。
Snow Country by Yasunari Kawabata(『雪国』 川端 康成)
Spring Snow by Yukio Mishima(『春の雪』 三島 由紀夫)
Face of Another by Kobo Abe (『他人の顔』 安部 公房)

そして、今回が、
In the Miso Soup by Ryu Murakami (『イン・ザ・ミソ・スープ』村上 龍)。

外国人相手に歌舞伎町の性産業めぐり、夜のツアーガイドをする主人公ケンジが、
年も押し迫ったある日遭遇した、ホラー・ファンタジー、とでもいおうか。

私見:
結論から言うと、これほど反発心を持って読んだ本はなかった。
それが、ラストまで残り十数ページのとあるくだりを読んで、突然すとん、と腑に落ちたことがあり、
作品への評価が逆転した。このことで、すべてのプロットの甘さが正当化されるわけではない。
しかしなるほど、村上氏がこの作品で言いたかったこと、思考停止した国民・国家への警鐘は、
今も一貫して彼のさまざまな活動の真髄になっている。
ある意味、このひとは筋が通っている、と感動すらおぼえた。

強いられる読書もたまには悪くない、と思った。

和書・洋書共に表紙がこわすぎて、カバーをかけたまま読んだ。リンクをこちらに。 
和書 
洋書 


次回は、Samurai by Shusaku Endo (『侍』 遠藤 周作)。
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by office_bluemoon | 2012-09-28 23:01 | Book club 議事録

Book Circle 議事録  Oryx and Crake  by Margaret Atwood

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夏休みあとのreunionになる、Book Club。
今回はカナダ出身のAlex と Robの推薦本。
Margaret AtwoodOryx and Crake

場所:
Rob邸のお庭。20キロ相当のリブをヒッコリーでスモークしながら。

出席者:
Alex   (司会)
Rob (BBQ King !) 
Michele
Steve
Reina 

まずAlexが、作者の出自について、その作品の評価と位置づけについて、概説。
Robはこの作家の作品は全作読んだ、ということで説明にも力が篭る。

それほど遠くない未来に警鐘を鳴らすサイエンス・フィクション。
ほぼ全員が夢中になり、三部作のうちの一作目である
本作品の続きが読みたくなる、と評した。

日本でも翻訳されているが、私にはまったく未知の作家。
カナダ出身の作家の作品を読むのは『赤毛のアン』のモンゴメリー以来、といったら、
とても驚かれ、笑われた。

私見:
自分ではなかなか手を出さない近未来小説。最初とまどったが、
慣れてからはストーリーをそこそこ楽しめた。ある程度の素養がないと
風刺や機微がわからない、知的大人のファンタジー、といったところ。
このファンタジーを、native speaker全員が高く評価したことに、
驚いた。
バックグラウンドも個性もバラエティに富む仲間たちと、
放埓な空想の世界をシェアしたことで、
永遠の少年・少女といったおももちの一面を、
垣間見られたことが嬉しい。

私の英語の語彙が限られていることもあって、架空の生き物 
(例:pig + racoon = pigoon)や、未来の造語が出てきても
それが実際にある言葉なのかどうかが判別できないし、
荒唐無稽な出来事も、果たして自分の読み違いなのでは
確信が持てないまま読み進めなければならないので、
平易な英語で書かれているにもかかわらず、とても苦労した。

ラストに向かってスピーディーに展開する部分以外の
プロットは、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』や、
ジョージ・オーウェルの『1984』を彷彿とさせて
新味に欠ける気がした。また、児童売春のくだりは少々陳腐に思えた。

これに対してAlexから、抗弁が。Atwoodが得意とする恒常的なテーマ、
自然との共生・自然破壊への抗議・ハイテク世界の脆弱性と危機・
家族の断絶・第三世界からの搾取、フェミニズムへの傾倒、といった問題を
盛り込んだ結果そうなるのであって、
いたずらにセンセーショナルに物語を盛り上げるために
差し挟まれたプロットではなく必然なのだ、と説明を受けてやや、納得。

非English nativeの読者としてもう一点気になったのが、
カナダ人作家の作品ならではの描写があるか、という点。作中の家族の対話や、
社会背景が何点か挙げられたが、いずれもカナダに限定されない
ユニバーサルな問題、ということでCanadian identity的なものを特定できなかった。
Alexいわく、「そういうくだりがあったように思うんだけれど、今、出てこない」。
同じ英語圏であっても、カナダ文学界の特徴はなんだろう、という点が疑問として残った。

ここから派生し、アメリカを頂点とする西欧社会で、アメリカに対するカナダの位置づけ、
オーストラリアに対するニュージーランドとの関係性、など、比較文化論が展開され、
ブックメンバーではないアメリカ人のHughも議論に加わり大いに盛り上がった。

次回はMichele のセレクションの本に、ということで全員合意。
年内にもう一度ミーティングを開くために、中篇か短めの軽いものを、ということに。


Book Club閉会後は、Robの奥様HirokoやAlexの愛娘 Ninaちゃん、近所の人や親戚、
友人も加わってのいつものBBQパーティーに。
それでも、本好きが集まっているのでおのずとお気に入りの書籍、旅、好きな詩人、
アートの話で瞬く間に時が過ぎていく。
長らくの友人で冷静で寡黙な人物だと思っていたのに、
お酒が進むのも手伝って本のことになると熱く雄弁になるのも、楽しかった。

メインは前夜から漬け込み、朝9時からローストしていたリブステーキ。
それ以外のメニューは下記に。

メニュー:

ドライアプリコット or ドライイチジクの生ハムとモッツェレラ巻きブラックペッパー添え (Reina)

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セメント袋みたいに大きな紙袋いっぱいのナチョス + ホットサルサ(Steve)

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アーティーチョークのキャセロール パルメジャーノとマヨネーズオーブン焼き(Rob)

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チキンソーセージ (Rob)

グリーンサラダ(Hiroko)

サーモングリル オレンジ添え(Rob)

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家庭用(!)お化けマルガリータ・マシーン。通称『Robbie the Robo』(!!)。

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幼なじみが機内手荷物でカナダから運んできてくれた、というRobの宝物。
マルガリータ2種。プレーンと、ストロベリー大盛り。
カヴァが白2種類、ロゼ・スパークリング1種類。


日本は大好きだけれど一番恋しいのは食べ物、それも肉!と言い放つ
巨漢ぎみの外国人男性陣。常に紳士的に女性に肉を取り分けつつも、
実に嬉しそうに骨にくらいつき、肉汁で口のまわりをべたべたにして、
火の回りに何かと集まる。

SteveとRobがマルガリータを作り続ける。
自分のペースで飲んでいても、
「俺がせっかく作ったのに飲まないなんて!」と悲しそうな顔をする。
薦められるがままに、カップを重ね、夜が更けていった。

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by office_bluemoon | 2012-09-23 18:45 | Book club 議事録

harvest moon

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月夜の露天、誰もいなかったから、泳いだ。
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by office_bluemoon | 2012-09-23 13:14 | ぜんぶ月のしわざ

ザブトンネコ

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なんだかしんどいなぁ、っていうときによく思い出す。

近所の島でのうのうと暮らす、
天敵も(たぶん)いない、
狩の本能もどこへやら、の
おおきなおおきな『ザブトンネコ』。

ちょっとうらやましい。
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by office_bluemoon | 2012-09-22 12:38 | 迷路に遊ぶ(おもふこと)

a grapefruit moon

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台風のおあまりの波にドボン。

髪まだ乾かぬまま、
路上に置かれた縁台に座って
友人と待ち合わせ。

カットグレープフルーツと
同じ形の三日月(右上ちっちゃいんだけど)。
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by office_bluemoon | 2012-09-21 08:09 | ぜんぶ月のしわざ

12年の沈黙を破る 『いのちの祭り 2012 No Nukes One Love』

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風と雲の声を聞き、太陽を崇め、大地に寄り添って生きようとする人々。

天の河の下、優しいランプの光を頼りに、草を踏み、心細さを分け、
夢を語りあった。
友たちが歌い、踊り、叫び、ダイスを振り、抱き合い、笑い、力を伝え、
祈り、再会を祝った。





いのちの祭り 2012
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by office_bluemoon | 2012-09-18 16:24 | こころ、泡立つ(events)

cool struttin'

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乗馬インストラクター友人を訪ねる。
思いがけず、騎乗のひとに。
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by office_bluemoon | 2012-09-16 09:01 | こころ、泡立つ(events)

マコ★マコ★シネマトーク

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(カメラを忘れて、ぼけた写真でごめんなさい!)


映画監督・イラストレーターの和田誠さん。
ラジオDJ・作家のロバート・ハリスさん。
映像作家の佐々木 誠さん。

「いつかこの人に会うぞ!」と和田さんの本を読み、
ハリスさんのラジオを聴いて育った
佐々木さんにとっての、夢の鼎談が実現。

和田さん初監督の映画『麻雀放浪記』のときに
自らがお描きになった絵コンテを背景にトーク、という
贅沢なステージ演出。

ただ映画が好き、というモティベーションでつながった、
世代を超えたシネマトーク。

わからないことをわかったふりをしないところも、
三人とも、素敵だった。


思ったこと、2つ。

1. 好き!というシンプルな情熱を維持できるのも、ひとつの才能。
2. 情熱をつきつめていくには、人生はあまりにも短すぎる
(=余計なことに心煩わされるのを言い訳にしない)



すがすがしい気持ちになった。

うだうだしている2時間があったら、
映画、観なければ、とおもった。



マコ★マコ★シネマトーク  


アレ★アレ★シネマトーク 
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by office_bluemoon | 2012-09-15 09:15 | こころ、泡立つ(events)

time goes by


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顔の上に伏せた文庫本。
飽かず寄せる波。
オンショアの風。
海の家の鉄骨を運ぶトラックの音。

夏をひきとめたくて。
夢から醒めたくなくて。
まどろんだふりをした午後。
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by office_bluemoon | 2012-09-11 19:39 | 迷路に遊ぶ(おもふこと)

"The Long Goodbye"から - 3 (Ev'ry Time We Say Goodbye)

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The Long Goodbye (レイモンド・チャンドラー作)の中に登場する
名台詞のひとつ。ただし、歌詞(原文にはフランス人のことば、とある)の引用。
マーロウがこの台詞を独白するまでの設定が
また究極にしびれるハードボイルドなのだけれど、
これは手ごわいのでまだ先の宿題。


Everytime we say goodbye,
I die a little.


さよならをいうのはわずかのあいだ
死ぬことだ。
(『長いお別れ』 清水俊二訳)



さよならを言うのは、
少しだけ死ぬことだ。
(『ロング・グッドバイ』 村上 春樹訳)



さようならを言うたびに、
少しだけ息が止まる。
(bluemoon試訳)


うーん、この前の文脈がないと、やはりどれもすわりが悪いように思う。



たぶん、この歌詞の一節でもある。
コール・ポーター作曲。
チェット・ベーカー、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンス
エラ・フィッツジェラルド、ナタリー・コールのテイクも有名。





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by office_bluemoon | 2012-09-04 08:37 | 翻訳シャドーボクシング(試訳)