office bluemoon

<   2015年 08月 ( 6 )   > この月の画像一覧

chasing Bokusui

f0205860_1022684.jpg




この水の蒼さに、心奪われた。
再度の伊豆。主に南と西。

前回は若山牧水の終の住処のある千本松原で
とっぷりと日が暮れた。

今回はその続き。
天城を越えて海岸線に出てから
やはり牧水ゆかりの土肥・小土肥をうろつき、
沢田、堂ヶ島、宇久須、安良里と小さな港に遊び、
石部の棚田に分け入る。

なまこ壁の蔵が並ぶ松崎で川べりを散策。
古い商家の座敷にぺたりと座り、古くて大きなつるっとしたラジオで
高校野球をきくともなしに聴く。
蝉時雨、念願のうなぎ。
山奥の野天湯に入る。


夕陽を追いかけて、黄金崎。
思いがけず三島由紀夫の文学碑に出会い、たたずむ。


帰ってからこの本でおさらい。

あまりにも有名な『白鳥は』、座右の銘にしたいくらい好き。
それと、牧水が酒を歌った句が好き。
牧水往時、沼津市内で牧水の立ち寄ったことのない居酒屋はなかったとか。

有象無象の中から掬い取った、みそひともじの宇宙。


白鳥は かなしからずや 空の青 うみのあをにも 染まずただよふ 

それほどに うまきかとひとの 問ひたらば 何と答へむ この酒の味
われとわが 悩める魂の 黒髪を 撫づるがごとく 酒は飲むなり
白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒は静かに 飲むべかりけり

[PR]
by office_bluemoon | 2015-08-26 10:15 | こころ、泡立つ(events)

谷根千さんぽ

文豪好き、の仲間と炎天下の『谷根千(やねせん)』ツアー。
風情あるこの界隈に惚れこみ、住みついた友人の先導で、歩く歩く。

鶯谷駅集合→ホテル街の谷間にある正岡子規旧居『子規庵』→文豪に愛され、
その作品にもたびたび登場する羽二重団子→
谷中銀座→江戸川乱歩のD坂、こと団子坂→森鴎外記念館→
読書愛好家が本のならびに唸るという往来堂書店→
根津でランチ・ビール→根津神社→漱石旧居跡→東京大学安田講堂→三四郎池→
本郷通り洋菓子屋近江堂でフルーツゼリーとか、ジュースとか。

正岡子規と夏目漱石との友情を描いた、伊集院静『ノボさん』を慌てて行きの電車で読了。
子規庵と、鴎外の旧居、観潮荘に集った文学者たちの親交、その世界観を、
平成のリアリティで立体的に追体験、という贅沢な読書。
文豪も歩き、立ち寄ったであろう道に立ち、同じ目線で今も残る事象や町並みを眺め、
歩き、味わう、という酔狂に集ったのは、5人。

道すがら、共通の友人のことを話すように、文豪を本名で呼ばわり(『林太郎』、『金之助』)、
読書談義ができるのも愉快。

江戸風鈴の音涼やかに鳴り渡る憧れの谷中銀座の、レトロな町並みにしびれ、
三歩あるくたびに嘆声。
書生気取りで歩く、千駄木の坂を降り、本郷通りそして東大の銀杏並木に。

つかの間の涼を取ろうと入った創業120年の老舗洋菓子店近江屋。
天井が高く、カウンターが幅広く、長い、
エドワード・ホッパーの絵みたいな、ひんえりしたタイムスリップ空間。
ほかでは中々食べられない、気合の入ったフルーツゼリーのみずみずしかったこと。

アスファルトから蜃気楼立ちそうな酷暑の中、歩いた歩いた。血マメができた。


子規庵で読んだ一句
「仰臥せし子規の目線の糸瓜かな」


f0205860_22355780.jpg

三四郎池にて。
[PR]
by office_bluemoon | 2015-08-10 22:37 | こころ、泡立つ(events)

West Coast


f0205860_11225057.jpg




鎮守の森を抜けると、神の掌(たなごころ)のような、小さな水透き通る入江。
背泳ぎで仰ぐ富士はまるで銭湯のカキワリ。
太宰治はこの界隈に長逗留し、『斜陽』の冒頭を書いたとか。
[PR]
by office_bluemoon | 2015-08-07 11:24 | こころ、泡立つ(events)

blue blue moon


f0205860_1074039.jpg





じゃあ、サンセットの頃に、浜で。
ゆるい約束。
近所の友人たちとミニ同窓会。

夏限定の、海の家での待ち合わせ。

それぞれの場所で仕事を終えた友人たちが、ビーサン履いて
沢蟹のようにわらわらと集まる。

松林越しに満月がのぼる。
砂浜に置いてあった天体望遠鏡で、かわるがわるクレーターを眺める。
足の裏にふれるひんやりとした砂。寄せては返す波の音。
サマードレスのすそをひるがえす、潮風。蚊取り線香の香り。

日本の夏のブルー・ブルー・ムーン。
[PR]
by office_bluemoon | 2015-08-04 10:08 | ほんの習作(掌編・エッセイ他)

"A Mi Manera"

f0205860_9575861.jpg





翌日確実に都内に届く宅配便〆ギリギリまで、校正作業。

締め切り20分前。
暑さでふらふらになりながら集配ステーションに向かう。
茜色の空を追いかけて西へ車を走らせる。
ラジオをつけたら流れてきたのは、
ジプシー・キングスがギターをかきならし、絶叫する
それはそれはドラマチックな
『マイウェイ("A Mi Manera")』。

机の前でダルマさんのように数日間座り続けていたのだけれど。
これ以上走れないところまで、走りぬいたような、
万感迫ってなんだか胸が熱くなって。

I did it my way.





[PR]
by office_bluemoon | 2015-08-04 09:53 | 私的juke box(tunes)

驟雨

f0205860_9585980.jpg





すぐ前も見えないほどの驟雨。
小走りに駆け込んだのは、地元の人々が集う共同湯。

雷鳴で照らされる半露天風呂にこわごわ漬かりながら、
毎日来ているというおばあちゃんに話しかけられる。
身の上話、嫁いだ娘の話をひとしきり聞く。
田んぼの真ん中にあるこの湯のためにはるばる来た、と話したら相好を崩して
水の出が良いシャワー口や、近所のおいしい蕎麦屋を教えてくれる。

そろそろ出ます、と辞去すると
脱衣所まで追いかけてきた。
「これも何かの縁だから」、と。
今朝とれたというゴーヤとオクラと平打ちインゲンをもらう。

雨が上がった。
[PR]
by office_bluemoon | 2015-08-03 10:02 | ほんの習作(掌編・エッセイ他)