溝上幾久子 個展 「はちみつどろぼう」
たとえば、満ち足りた風景に
ほんのひとさじ
真逆の要素を加えてみる。
そうすることで、ほぼ完璧な状況よりも
そこに漂う空気感のようなものが力強くきわだち、
心を掴む効果を生み出せることがある。
光には、闇を。
饒舌な音楽のなかに、静寂を。
幸福な夢の中に、惧れを。
すっ、とすべりこませる真逆の要素の
ほどよさは
数量化できないし、
ほんとうに感覚的なものでしかない。
少女の見る甘美な夢の、残酷さ。
無邪気な顔をした動物の、あさはかな狡猾さ。
聖なるものに内在する、俗っぽさとあざとさ。
そうした、さじ加減の絶妙さに唸らざるを得ない
作品群に出会えた。
友人の溝上幾久子さんの個展。
「はちみつどろぼう」
手製本で綴る独特の文章と画も
美しく、清らかで、温かいのに、
おっかなくって、どこか素敵によじれている。
いたってピースフルで控えめ、独特のペースを
つらぬくご本人の語り口のからは
うかがいきれない、深遠すぎる小宇宙。
頭の中はいったいどうなっているのだろう。
雨音さやけき休日の
レセプション・パーティ。
(レバノン料理がならぶ)
(作家と作品遠景)
人とアート、こだわりぬいた食のある空間を演出する
<馬喰町ART+EAT>にて。
12/12まで。
by office_bluemoon
| 2009-12-07 06:00
| こころ、泡立つ(events)