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船乗りが愛した酒 Captain Morgan


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沈黙がことさらに
深まる飲み物がある。
お酒だったら、度数の高い蒸留酒。

口に含むと味わいの層がガツン、とぶつかり
追って鼻腔をくすぐる香りが拡散する。
次に、香りの要素がひとつずつ立ちのぼっては、
再構成を果たす。
変化を舌の上で緩慢と転がしていたくて、
おのずと口数が少なくなる。

蒸留酒の中でもとりわけ、
船乗りたちと旅を共にしていた
ラムの香りにかきたてられる。
豊穣、あるいは約束の地に焦がれる
農耕民、遊牧民の血ではなく、
星を便りに海を渡ってきた遺伝子がざわつく。

ラム酒を呷(あお)る無頼漢を想い浮かべ、
しがない自分の冒険をそっと重ねてみる。

風を全身で受け、南南西へ。
水平線の彼方の、黄金の国へ。

理想郷を見つけたとしても、
冒険者たちは次なる未知を追い続け、
命果てるまで満足を知ることがない。
業(ごう)と闘うのか、
悟るのか。

少なくとも私にとって、
ラムは口数を少なくさせる。
尽きることのない問答を弄し、
不条理に打ちのめされても、
闘うでもなく、悟るでもなく
静かに黄金の国を信じていたくなる。

世界にはものがたりが必要である。
人は生きていくのに、
ものがたりを必要とするから、
夢を見る。
満身創痍の冒険者たちもきっと、
ラム酒の酔いに楽天主義の真髄を
借りようとしていたのだと思う。







Captain Morgan (キャプテン・モルガン)

プエルトリコ産のダークラム。
17世紀に大英帝国軍の軍事参謀を経て
ジャマイカ島総督まで務めた
キャプテン・ヘンリー・モルガンの名前を冠する
バニラスパイスの香り高きフレーバード・ラム。

勉強熱心なマスターに
最初に味見をさせてもらって気に入った
自家消費用の特別ロット、
"Private Stock"がずっと手に入らなかった。
プロでも泣く稀少品らしい。

先日も都内を探して徒労に終わっていたところ、
願望を口に出し続けていたおかげか、
昨夜思わぬ経緯で手元に(感謝)!

ベーシックなグレードのものは、
少々尖った甘さを活かして
ホットバタードラムにしたり、
紅茶や珈琲に加えて。
やや贅沢な使いかたは、
ラムレーズンやお菓子作り、
アイスクリームに数滴。
運良く"Private Stock"が
手に入ったら、ロックが至高。
家庭用の氷でも、ちゃんと締めた氷
(氷を一回水で洗い、再氷結させる)を使うと
何層にも折りたたまれた
味わいが研ぎ澄まされて尚よし。

キューバリブレ(ラムコーク)にするには、
甘みが勝りすぎるので配合にご用心を。
口当たりが良く、度数が高いので、
間違いなくレディー・キラーなカクテル。
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by office_bluemoon | 2010-02-04 00:16 | bar talk (boooze!)