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2010年Book & Cinema 総括

昨年の読書・映画生活を駆け足で。

【読了した本の数】
(和書・洋書計。再読も含む。ただし、年内の再読は1冊と数える)
83冊

【観た映画の数】
35本

【反省点】
本、決して多くはない。今年は100冊届かず。届かなかった理由は2つ。

1)電車に乗る機会が昨年より減った(実は最適な読書時間だった)。
    夏に読書椅子を購入以降、 ピッチがあがる。

2)読書会や勉強会課題、シノプシス資料など、
    一冊を精読しなければいけない時間が増え、足踏みする結果に。


映画は昨年比増。それでも、たったこれだけ?と思った。
映画好き友人に借りたり、ミニシアターで、など自宅以外で観る機会も増えた。



一目二目も置いている高感度友人たちのインプット、
そして今年は特にbook circleの仲間たちのおかげで、
読みたい観たいリストが切れることがなかった。


【今年こころがけたいこと】
・読むことが仕事、と思いこむ
・100冊、といわず、来年は必ず3ケタに載せる。もっと洋書を
・翻訳小説以外から、美しい文体を意識して学ぶ(でないと、翻訳調が普通だと思ってしまう)
・読書・映画のための時間の捻出。時間の間仕切り(だらだらと仕事しない)

琴線に触れたものはほとんどブログで紹介済みではあるが。以下、備忘録として。




【書籍十選(ビジュアル書籍を除く)】
順位順ではなく、観た時期順。
つまり、アルファベットに続く番号は、年初からの通し番号。


B28  Let the Great World Spin  Colum Mccann
B34  1Q84 Book3 村上 春樹

B39  The Movable Feast  Earnest Hemingway
* この作品に流れる精神性みたいなものが、2010年の重低奏音でありつづけた。

B46 死の蔵書  ジョン・ダニング 
* シリーズ一作目。これですっかりまいってしまい、「幻の特装本」 「失われし書庫」「災いの古書」と続く)

B58  翻訳の基本  宮脇 孝雄 
* 「翻訳家こそ、もっと遊べ」とな!

B60  利休にたずねよ  山本 謙一

B71  音もなく少女は  ボストン・テラン
* 数十年に一冊、の美(翻訳)文体だと思った。現在、2010年翻訳ミステリ大賞有力候補。

B76 夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです  村上 春樹
* 海外メディアによる村上春樹インタビュー集。
雑誌 考える人 以来、早朝に起きて、筋トレをして、掃除をやおら始めて、
なんとか「書く人」の生活の輪郭だけでもなぞろうとした。最後のひとしずくまで、
読み終えてしまうのが惜しかった読書体験。

B81 アフォリズム  ロバート・ハリス
* 長年大レスペクトしていた作家に発売前の本を携えて私的朗読会をやっていただくなんてこと、
わが人生に起こるなんて。

B83 選択の科学  シーナ・アイエンガー
* コロンビア大学ビジネススクールで教鞭を取る作者の主張は4つ。

1. 人生は選択の集積であること
2. アメリカでは選択は権利であり力であり、快感であること
3. 一方、選択肢が多いことが必ずしも幸福ではない
4. 価値体系(宗教など。例:戒律の厳しい原理主義など)が変わると、
選択肢があらかじめ狭められているほうが幸福度が増す場合もある

作者はインドからの移民でシーク教徒の両親のもとに生まれ、
高校の時に視力を失う。アメリカでは「選択」は力であり、
社会構造に織り込まれていることを意識せざるを得ず、
これを研究のテーマにすることを思いつく。

彼女の研究で有名なのが、『ジャム理論』。
スーパーの試食コーナーで、ジャムのサンプルを24種類並べた場合と
6種類並べた場合の買物客の行動を比較する。
大方の予想に反して絞り込んだ6種類から試食した買物客のほうが
より多く実際にジャムを購入し、売上も高かった。
この研究は一躍注目を集め、マーケティングや広告手法に応用されている。

また、敢えて最終決定権を与えないことが
幸福である特殊なケースとして、挙げられているエピソードは
示唆に富む。

難病に罹った我が子に延命措置を行うか
判断せざるをえなくなったとき、
親の最終決定による安楽死と、
医師の指示にしたがった安楽死とでは、
両親の後悔の残り方とその後の生き方に差異が出る。
我が子の安楽死、という結果は同じでも
医師のサジェスチョンにより
余儀なくそうした、という形をとった両親のほうが
その後子供の死を乗り越えて前向きに生きられことが
わかったのである。
この研究は、医学におけるインフォームド・コンセント
(納得治療)や生命倫理の分野に影響を与えると
みられている。


なるほど、MBAのコースが文系学問のなかでも
最も学際的であるわけだ。こんなに面白いのなら
もっと勉強するんだった。



【映画十選】
同じく、順位ではなく、読んだ時期順。
つまり、アルファベットに続く番号は、年初からの通し番号。
 

C1 それでも恋するバルセロナ
C6  コレラの時代の愛
* ハビエル・バルデムに終始した、2010年。

C13  Ashes and Snow
* 映像は言うまでもなく。日本語版の翻訳と渡辺 謙のナレーションに繰り返し、
鳥肌が立ち、こころ震えた。

C15  マンマ・ミーア!
* 70年代ポップミュージックは大嫌い(アバとかバリー・マニロウが聞こえてきたら
裸足で逃げ出すタイプ)な人と一緒に観たのだが、この人も最後まで魅了されてしまったのが痛快。
メリル・ストリープってすごい。
映像の色がきれい。また、どの歌の内容もストーリーにちゃんと沿っているのもすごい。

C21  風の歌を聴け
* 1981年の映画。小林薫、真行寺君枝主演。あの小説を映画化するなんて、と
高をくくって観はじめたが、あにはからんや、良かった。
昭和の空気感を、平成のいま観るノスタルジアの魔法なのかもしれないけれど。

C22  ジェイン・オースティンの読書会
この映画の読書会、book circleで織りなすテイストが好き。
日本の読書会とはどこが質感が異なるのかを、まだ言葉にできないけれど。

C23  おとうと 
C24  ファッションが教えてくれること 
C29  シャネルとストラヴィンスキー 

C35 スパニッシュアパートメント 
* バルセロナで体験する、七か国から集まった友人たちとの共同生活。エリートコースに乗るために
スペイン語を、と留学を選んだ主人公が、最後にとった選択が痛快(やっぱり人生にブンガクを!)。




まだまだ知らないこと、観たこともないことが多すぎる。
時間との勝負。











































選択の科学

シーナ・アイエンガー / 文藝春秋

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by office_bluemoon | 2011-01-08 00:08 | こんなもの、読んだ(本・雑誌)