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『NINE』

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ブロードウェイ・ミュージカルの映画化。
そもそもフェリーニの『9 1/2』のリメイク、ということも
知らなかった。それでも、イタリア語訛りの英語が
耳に心地よく(なぜだかラテン語圏訛りの英語に惹かれる)、
なんだろう?と出だしからぐっと惹きこまれた。

年端のいかないひよっこたちを束にした、のではなくて
こんなに豪華な大物女優をこんなに惜しげなく
起用できてしまうことに、ただ、ただ、驚愕。
これを見ているだけで、飽くことはない。
さながら、視覚の満漢全席。




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やはりペネロペ・クルズが登場すると画面から目が離せない。
存在感ではソフィア・ローレンが圧巻だけれど、
ペネロペの美しさとプッツンさかげんも負けていない。


なんでこのしょうもない男に?と
たびたびつぶやきたくなる主人公を演じた俳優が
ダニエル・デイ=ルイスであったことを
最後の最後に知る。
一分の隙もないいい男、というより
すごく気になる男、を好演していた。

正面からのショットよりも
憂いを帯びた横顔の見せ方はさすがだし、
コートの襟の立て方、着こなしは
やはりヨーロッパの俳優、と感心する。
男のダンディズムやエレガンスは顔の造作よりも
佇まいや物腰に醸し出るのだと思う。

"Take off your clothes."という冒頭の台詞が印象的だった
『存在の耐えられない軽さ』で見せた線の細さはもうないけれど、
あのときの外科医の危うさ、は健在だった。

主題歌を始め、音楽もどれもいい。
ダンスの巧みさにかけては、もう、言葉もない。
現実から離れた幻惑感を味わいたいのなら、
超絢爛豪華な万華鏡のような、
虚構に徹したこんなミュージカル映画が
一番だと思う。


最後に、
「世界は男と女と愛でできている」というコピーは、絶妙。

「おだまり!あたしゃあんたに惚れたのよ」、なんてタンカを切りそうな
いなせで百花繚乱な
この映画のノリとエッセンスが過不足なく凝縮されている。































(2011-C10-0412)




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角川映画

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by office_bluemoon | 2011-04-24 09:39 | Life is Cinema (映画)