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Book Circle 議事録  1Q84  by Haruki Murakami

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我田引水(しめしめ)、で、「1Q84」が今回の課題本。
会場は、海前のレストラン。イタリアン。

出席者:
Robert 司会
Alex
Rob
Steve (高熱をおしての出席。ほんとうにいいやつだ!)
Reina  書記

司会のRobertが、
『考える人』村上春樹ロングインタビュー特別号をベースに、
著者と作品の背景、全3巻のなりたちについて、概説。
メールリストではいつも活発に意見を出してくれる Alexは
今回、オフライン初参加。
5ページにも渡るサマリーを手に、熱弁を振るい、
一同、聞き入る。
こんなに文学好きだとは、今まで知らなかった一面。

-死と再生がテーマ
- ユングの影響?(集合的無意識)
-ダンテの「神曲」をベースにしているのでは?
(死と再生、パラレルワールド、善なるものと悪、
「3」という数字の符牒…
例:全三巻、三ヶ月の出来事、三人単位で織り成す人間関係…)

AlexとRobは村上作品初挑戦。登場人物のライフスタイルや
映画や音楽などのモチーフが、日本独特のサブカルチャーよりも
西洋文化に根ざしたものが圧倒的に多いことから共感しやすく、
物語に入りやすかった、と評価。
いわく、「AKBとか出されてもさ、わかんないし」。

これを受けて、著者がかつてジャズバーを経営していて
特にクラッシック音楽やジャズに造詣が深いこと、
日本の作家よりも西洋の作家の影響を受けており、
デビュー当時は最初は英語で書いたものを日本語に訳して
短編にしていたこと、
既存の日本文学のスタイルを壊した、と評価と非難の両方を
受けていたことなどをReinaとRobertが解説。

全員が第1巻と第2巻の疾走感が第3巻になると失われ、
冗長と感じていた。
その書き方のスタンスの変化についても、
Robertが雑誌インタビューにあった作者の発言を
引用して説明。
Reinaは、この作品に作者が得意とする手法とモチーフがすべて
盛り込まれており、遺作になるのではないか心配、とも発言。
(例:パラレルワールド、非科学的なできごと、温室で待つ老婦人、
タマルなどの登場人物や設定は、
チャンドラーの『高い窓』へのオマージュ)

AlexとSteveは、前回課題本『シャンタラム』の作者のストーリーテリングの
手腕を高く評価していたが、『シャンタラム』が作者の実体験に
基づいた作品であることを考えると、100%フィクションである
『1Q84』の圧倒的なストーリーテリング力、"quite a pageturner"である点に感服する、と
コメント。全員、これに同意。

解散後数人は、海岸におりて散策。海開きしたばかりの海の家で
ビール、キューバリブレ、ハイボール。
夜更けまで話し込む。

次回幹事は、AlexとRob。カナダ出身の二人が強く推す、
Margaret Atwoodの作品に。
言われてみると、カナダ出身の作家、ってあまり知らない。

Oryx and Crake または
The Blind Assassin (2000年ブッカー賞受賞)のいずれか。
by office_bluemoon | 2012-07-12 14:30 | Book club 議事録