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『スカイフォール』 007

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六代目ジェームス・ボンド、ダニエル・クレイグの魅力、
これまで私にはよくわからなかったのだけれど、
悪役がハビエル・バルデム、と聞いて、いそいそと初日に映画館へ。



映像が美しかった。
どんな怖い殺戮・チェースシーンでも画面から目をそらすことができなかっ た。
圧巻だったのは、上海のビルのネオンを使ったブルーグレーと黒基調のシーン。



ところで、どういうわけかわからないのだけれど、
「オフィスのガラス越しに見える追っ手を、ゴムの木の鉢植えの影の床に伏せ て
息を殺してやりすごす」、とか「仄暗い地下道の窪みに潜んでいるかもしれな い
殺人鬼だか魔物だか吸血鬼を振り払いながら、全速力で走って逃げる」、とか、
子供の頃からなぜか、手に汗握る「追われる」夢を実によく見てうなされる。

以降、我が人生の「追われる」悪夢は
この上海の高層ビル・シーンがベースになりそうなくらい、印象的だった。



お目当てのハビエル・バルデムは、やはり芸達者。

金髪と、ミニマムに抑えられた英語のスペイン語アクセントとで
異形性を際立たせ、得体の知れない狂気を極限まで追求した。
のちに妻となるペネロペ・クルズと共演した
『それでも恋するバルセロナ』のラテン伊達男も演じられるのを知らなかったら、
老練の怪優にしか見えない(まだ四十代前半!)。

小顔でコンパクトな作りのダニエル・クレイグの
シャープな動きを引き立たせ、ハビエルはこのシリーズの悪役が担うべき
ミッションを見事にまっとうした。
今回の悪役、はまりすぎてしまったけれど、
七年前にはこともあろうにボンド役のオファーがあったほど、
確かな幅広い演技のできる役者であることは、特筆しておきたい。
オファーを断ったのは、当時映画『ノーカントリー』にかかっていたからで、
結局この作品で彼はアカデミー助演賞を受賞している。



長らく解せなかったダニエル・クレイグ・ボンドの魔法が
ようやく私にもかか り、
(スーツのたたずまい、歩き方が特にすばらしい!)、
最後の格闘の頃には、どちらを応援してよいか困った。
007ブランドの底力を発揮した
シリーズ50周年、の名に 恥じない記念作品だと思った。

そういえばやはり幼い頃のこと。
TV洋画劇場でこのシリーズが放映されても、
ボンドガールが登場すると、「もう寝なさい」と、問答無用で
子供部屋に追いやられた。
私が観たかったのはボンドガールのお色気シーンなんかじゃなくて、
仕掛けのあるペンや靴、アタッシュケースの中身だったのだけれど、
説明するすべもなかった。
ちゃんと頭から通しで知らない作品がたくさんある。

今は、心置きなく観られるのだもの。
もう一度初代ボンドから、振り返りたくなった。
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by office_bluemoon | 2012-12-03 07:42 | Life is Cinema (映画)