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It's just an ordinary day.

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本に関するセミナーに参加。
プレゼント交換に
予算1000円程度の本をご持参ください、とあった。

当日、やっと選んだこの上下二冊。

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『ナショナル・ストーリー・プロジェクト I/Ⅱ』 ポール・オースター。

(以前にこのブログでも、紹介)

★★


本の紹介を、といわれた。
最初は少人数のグループでプレゼン。
その中から人気投票をしたら、
なぜか選ばれて
参加者全員の前でも再度プレゼンした。



事前にほとんど準備していなくても、あがり症でも、
(ほぼ)よどみなくことばが出てきた。

人に伝えたいこと、というのは、
実は今いちばん自分がかみ締めたいこと、だった。


***

この時期、ギフトを買わなければ、何かスペシャルなことをしなければ、と
プレッシャーに押しつぶされそうになったりしていませんか?

確かに、スペシャルな一日、というのも必要なのだけれど、
人生というのは実は、さしたることもなく過ぎていく
普通に思える一日が積み重なって
できていくものなのだと思います。
普通に朝、『いってらっしゃい』と見送られ、
会社で上司に叱られ、クレームの電話に頭を抱え、
帰り道に同僚と
居酒屋でバカ話をして憂さを晴らし、
へべれけになって夜半にそうっとたどりつく我が家にはとっくに寝息を立てている家族がいる。
大きなイベントも、サプライズもなく、ただ淡々と時間が過ぎていくように思える一日。


そんな、名もなき普通のアメリカの人々の、
少しだけ情けなく、暖かく、みっともなくて、それでいて懐かしい、
本当にあった話がたくさん詰め込まれています。

この本は、アメリカのラジオ局がリスナーから公募した
実際にあった話を、作家のポール・オースターが選んで、編集したもの。
そして、アメリカでは偶然に、あの911の二日後に、この本は刊行されました。

ここに登場するような、普通の人々の日々の営みが
突如絶たれてしまうのはどういうことなのか。
そのことに共感するには、あまりにも意味の深すぎるタイミングでした。

短いものは1ページ足らず、長いものでも十数ページ。
思い立ったときに、夜眠りにつく前に、ふと手にとって見るのにちょうどよい本です。
ときには、世界から隔てられているような気持ちがする日もあるかもしれない。
人は誰しも完全ではない。
完全ではないからこそ、日々なすことに、意味がある。
特別ではない、なんでもない一日がいとおしくなる本です。


***

この本があたった男の子が大喜びしてくれたのはもとより、
ファシリテーターや主催スタッフ、参加者数人にも、
「読みたい。欲しかった。買います!」、と口々に言われて
嬉しかった。


世代や国を超えて共感を呼ぶ、
人にぬくもりを伝える本をやっぱり作りたい、と強く思った。


私には、絵本が。
見た瞬間に狙っていたものだった。
やった。(引き寄せ力!)

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「急行『北極号』」 C.V. オールズバーグ 作  村上 春樹 訳


絵本を自分で買うことはほとんどないだけに、
しんそこ嬉しかった。
しかも、昨日の今日、で、ハルキ訳!

すぐに読み終えるのがしのびなく、
まだ開かぬまま、表紙を飾っている。
by office_bluemoon | 2012-12-23 12:27 | こんなもの、読んだ(本・雑誌)