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訳書について

今度翻訳を担当したのはどんな本ですか?というご質問をしばしば受けます。
文章にまとめてみました。簡単に紹介させていただきます。

「ビジュアル大宇宙」
宇宙の見方を変えた53の発見(上)・太陽系の謎に挑んだ47の発見(下)

(ジャイルズ・スパロウ著、国立天文台副台長 渡部潤一氏監訳 日経ナショナルジオグラフィック社)

 天文学は発見に満ちています。
 その歴史は仮説→観察または実験→反証または立証→理論 という「近代科学的思考」を
人類が得るまでの歴史でもあります。

 たとえば、星を眺めた古代ギリシャの人々は、地球が宇宙の中心だと思っていました。
この常識を疑う人々は紀元前3世紀にもわずかにいました。ですが、従来の考えをきっぱり否定し、
新しい宇宙観を世に広める人々が現れるまでには、1700年(!)もの月日が必要でした。
コペルニクスの登場です。
 コペルニクスの理論モデルが裏打ちされるまで、さらに100年かかりました。天体望遠鏡を
普及させたガリレオの貢献でした。望遠鏡による天体観測を通して、今まで信じられていたことと、
実際目で見たものが違うことに人類は初めて気づいたのです。
 この、「近代科学的思考」を手に入れた人類は、無数の発見を成し遂げました。それも、
2014年の現在に至るまでのわずか400年ほどの間に、です。

 もはや古典ともいえる「相対性理論」はもちろん、「量子論」、「ダークマター」、「物質と反物質」といった
最先端の話題、そして「宇宙の終わり」。上巻では53の発見を道しるべに、
137億年の旅に読者を誘います。
 下巻では、太陽系の謎に迫った47の発見を紹介します。ここで紹介される惑星や、その不思議な
ふるまい、衛星や彗星たちの素顔は、実に個性的です。ひるがえると、地球のこの、恵まれた
環境というのは、奇跡のような偶然の産物だとわかります。
何かのさじかげんがほんのちょっと狂っただけで、生物の気配すらない星になっていた
かもしれないのです。
 
 「科学的思考」から、 21世紀を生きる私たちが学べることが数多くあります。人類がひもといた
宇宙の137億年の歴史は、壮大な謎に立ち向かった旅でもあります。そんな叡智の旅を、
美しい写真と共にお楽しみいただけたら嬉しいです。
by office_bluemoon | 2014-12-10 20:26 | 訳書