office bluemoon

東京・江戸逍遥エッセイつながりで読んだ本

f0205860_202899.jpg





江戸の名残や、昭和の東京が好きだ。
このつながりで、年初から読んだ本をここにまとめておく。

『隅田川暮色』芝木 好子
『ロゴスの市』で、日本語の会話の美しさが挙げられていた。現在は絶版となっていたので、
古書で求める。組紐職人の女性が主人公。震災前後の隅田川沿岸を中心とする東京の風情、
湘南・奈良に舞台を移したドラマに親近感を覚える。

『月島物語』 四方田 犬彦
ニューヨークではマンハッタン島に住んでいた著者が帰国して次に選んだ住まいが、
月島。小津映画に登場するような長屋暮らしを始めてみて興味が沸いた、
「島」から眺める東京の変遷。島だからこそ育むまれる才能と、気質、情緒が月島にもあるのだ。

『ひとり飲み飯肴かな』 久住 昌之
『ちゃっかり温泉』久住 昌之
この二作を読んでつくづく、自分は、日常空間の中のエスケープ時間が好きだ、と実感。
富と財を成すことよりも、気の向くまま空間と自由を泳げる暮らしがしたい、と子供の頃から
夢見続けて、今に至っているのかも。志が低いんだか、高いんだか。
『孤独のグルメ』井之頭五郎の語り口はここに健在。

『Tokyo 老舗・古町・お忍び散歩』 坂崎 重盛
テレビの飲み屋横丁探訪記にもよく登場する坂崎氏は、あのアルフィーの坂崎さんのおじ。
久住氏もそうだが、酒飲みでありながら、新しく訪れる土地や店への緊張感・気遣いのあふれる
エッセイは、ぐだぐだに呑んでいるのであろうが、読んでいてすがすがしい。

『東京ステーションホテル物語』 種村 直樹
今回の東京読書散歩のハイライトは、この本。
行幸通りから眺める東京駅の美しさは、
日本の宝だと思う。堂々と往来の多い場所にありながら、毅然とした矜持と親しみやすさが
絶妙にブレンドしているこのホテルのたたずまいが好きだ。
日本における駅直結ホテルが誕生した背景から、関東大震災・戦争を経て、
どのように建物と伝統が守られてきたかを初めて知る。
松本清張、川端康成、内田百閒、森瑤子、とこのホテルをこよなく愛した文士の
エピソードも事欠かず。文豪足跡マニアにはたまらない一冊となる。

『点と線』 松本 清張
『ステーションホテル物語』ゆかりの作品、ということで、恥ずかしながら人生初、の松本清張作品となる。
感想はこちら

『東京日記』 内田百閒
同じく、初めての百閒作品。漱石門下生、ということで勝手にイメージしていた作風とは
全然違い、驚く。丸ビルが忽然と消えているのに誰も気づかなかったり、
混線した電話から聞こえる声の持ち主の女が隣の公衆電話にいたり、
四谷見附あたりから無人の乗用車にぴったり横をつけられたり、
生前主人が貸した本だのレコードがお宅にまだある気がしてならない、と
未亡人が連日訪ねてきたり。
この時代で、このシュールさは、すごい。最後の数行でストン、と落とされたり、ぞわわ、とさせられる。
迫りくる、理不尽な恐怖のスケッチの達者さ、力の抜け具合は、流石。














******
[PR]
by office_bluemoon | 2016-02-20 20:37 | こんなもの、読んだ(本・雑誌)