人気ブログランキング | 話題のタグを見る

office bluemoon

読書欲がかきたてられる本: 『立花隆の書棚』 立花隆・『日本流』  松岡正剛

読書欲がかきたてられる本: 『立花隆の書棚』 立花隆・『日本流』  松岡正剛_f0205860_12374266.jpg





知の巨人二人の本を、続けて読む。

『立花隆の書棚』 立花隆

書架の写真とテキストで全650ページ。
持つ手にも、頭にもずっしりときた。

文京区小石川にある立花氏の書庫兼書斎『ネコビル』をはじめ、
大学研究室、別棟書庫の蔵書を撮影。その内容と、購入した背景を解説した本。
さながら、知のカオス。ラビリンス(迷宮)。
本文で気になる書籍に付箋を貼り、書架写真の背表紙の文字はルーペで拡大して
じっくり読んだ。他人の書架に並ぶ背表紙が気になってたまらない人には
決して長さを感じさせない、垂涎の一冊。保存版。

私にとって初めての立花隆本は、『田中角栄研究』でも、『臨死体験』でもない。
1995年頃に刊行された、『僕はこんな本を読んできた』。これを読んで以来、
立花氏の読書14か条に影響を受け、ことあるごとにその切り抜きを見返してきた。

1. 本に金を惜しむな。
2. 同テーマの類書を読め。
3.選択の失敗を恐れるな。
4. 自分の水準に合わぬ本は途中でもやめろ。
5. 読むのをやめてページだけは最後までめくれ。
6. 速読術を身につけよ。
7. 読みながらノートはとるな。
8. ガイドブックに惑わされるな。
9. 注釈に注意せよ。
10. 書かれていることを疑え。
11. オヤと思った情報はチェックしろ。
12. ?と思ったらオリジナル・データにあたれ。
13. 難解な翻訳書は翻訳を疑え。
14. 大学での知識はなにほどでもない――若いうちはとにかく読め!


この14か条に出会ってから、気づいたら20年余。
知の巨人はますます、エントロピー的に知の迷宮を広げている。
知らないこと、読んでない本がこんなにある!のを知るのも、これなら読んだ!という
背表紙を書架に見つけるのも、両方楽しい。

人類の歴史や宗教を振り返るうえで、西洋やイスラムの人々の思想の礎になっている書物
――聖書はもとより、イスラム思想、哲学書――に、今回は付箋をたくさんつける。
そう、学校時代に受け身で覚えさせられた知識は疑うべきだし、それだけではいかんせん、
世の中をわたってはいけないのだ。



もう一冊が、こちら。
『日本流』 松岡正剛

もうひとり、博覧強記の代名詞、ともいえる松岡正剛氏。

そもそも、『かなりや』や『雨降りお月さん』『赤い靴』といった
日本の童謡はなぜ、そこはかとなくもの哀しく、寂しげなのか?
この疑問に端を発し、古くから「多様で一途なものが好き」な日本人が
どのようなもの・ことを愛で、そこからどのような文化や言葉が生まれたかを
絵巻のように紹介し、この国の行方を憂えもする、絢爛たる日本論。

日本人は晴れやかな【あっぱれ】なものに惹かれつつも、
滅び、変化するもの、はかない【あはれ】な事象に常に目を向け、遊んできた。
ここで、【あっぱれ】と【あはれ】は音も似た、対になる概念であるのだという。

立花氏の書架を眺めたその目で世界から見た知の潮流を駆け足で俯瞰。
その後、『日本流』で松岡氏と日本の歴史をさかのぼると、この島国で醸成された
文化の独自性にあらためて、気づかされる。

日本びいきをするにせよ、しないにせよ、古今東西の多様な価値観を見知った上で
みずから考え、謙虚に立っていたい、と痛感する。






































































*****
by office_bluemoon | 2016-03-06 13:38 | こんなもの、読んだ(本・雑誌)